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Shizuoka Design Award 建築賞2025を終えて

【応募期間】 2025年8月1日~2025年10月31日
【応募総数】 29作品

      (住宅部門:3作品、一般部門A:15作品、一般部門B:6作品、改修・増築部門:5作品)
【現地審査】 2026年2月2、3、9、12日(計4日間)

Shizuoka Design Award 「建築賞2023」はこちら

【Shizuoka Design Award建築賞2025 総評】

審査委員長:岩月美穂
(建築家/studio velocity一級建築士事務所共同主宰/名古屋造形大学特任准教授)

第3回Shizuoka Design Award建築賞2025の審査委員長を弓場地域交流委員長からご依頼を受け、お引き受けいたしました。この度は、とても貴重な機会を頂きありがとうございます。
応募頂きました建築作品は設計者のみなさまがクライアントの思いと向き合いながら、多くの困難を乗り越えて完成した建築として街に彩りを与えているものです。

1次審査ではその中でも、実際にどのように人々の暮らしと共に存在しているのかを体験したい建築を選びました。具体的には、日本の風景として、密集した中心市街地だけてなく、郊外の風景として、①素材を活かしたもの、特に県産材を積極的に活用した静岡の産業としても活性化していくような木造建築をどのような架構で、どのような機能として暮らしの中に生きづいているのかという視点、②内外の拡張性のあるもの、建築を内部のみで完結させることは限界があると考えており、建築を考える時に、ランドスケープと一体となる、街とつながるアクティビティを創出している視点、③物価高で建築資材が高騰する中で、古いものを撤去して新しいもののみで完結させるのではなく、既存の価値を調査・分析し活かす、そして新しいものを差し入れる視点、応募要項の審査基準と併せて、大きくこの3つの視点を大切に1次審査を行い、2次審査作品を選定しました。1次審査では、住宅部門3作品中1作品、一般部門A(1000㎡未満)15作品中9作品、一般部門B(1000㎡以上)6作品中2作品、改修・増築部門5作品中4作品の合計16作品を2次審査対象作品として選出しました。

2次審査では、建築家の方々の説明と共に、実際に街の中で人々の生きた建築として存在している姿を体験することができ、大変勉強になりました。1次審査で選定した作品はどれも入選以上で、入賞となったものは3つの視点のいずれかが特に際立っていた、そしてより繊細な検討がされている建築を選定しています。また、特別賞(しずおかの木ぬくもり賞)となったしずおか焼津信用金庫羽鳥支店美和出張所は、地元のオクシズ材を使い、地元の製材業、大工の手によりつくられた地産地消の建築として評価しました。

4日間にわたる現地審査では、1作品40分という時間でしたが、建築空間を案内してもらいながら、対話する時間はとても充実した体験でした。この賞を応募して頂いた建築家の皆様や全ての関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

審査委員:勝又 宏幸  (静岡県くらし・環境部 建築住宅局 局長)

建築賞2025の審査にあたり、応募されました方々、そして審査等にご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。
私自身、職場では建築の専門職ということになっていますが、実際、このようなかたちで建築に接することは少なく、貴重な経験となりました。
それぞれの建物を詳細に見させていただき、設計者から話を伺うなかで、建築を設計するということの難しさを改めて感じたところです。
建築の設計は、基本的には建築主からの依頼によるものですが、設計者は建築主の要望だけでなく、実際にそれを使う方や管理する方の使い勝手を考え、周辺への影響や整合性、そして地域の発展についても考慮されています。どこを優先し、どこで折り合いをつけるか、常に難しい判断を迫られます。また、法的な問題も解決しなければならず、それが既存の改修であれば、なおさらでしょう。
こうした与条件を乗り越え、設計者の考えがどこまで残り、どう表現できたか、そんなことを思いながら、審査にあたりました。
ある住宅の改修工事において設計者の言葉に「家から伝わるもの亅が、ありました。多くの課題を抱えながらも、建物と真剣に向き合った結果、出てきたものと思います。
また、これだけはどうしても譲れなかったという熱い思いや、いろいろな制約から思い通りにならなかった無念さが伝わってくることもありました。
この賞は、建物に与えられるものではなく、設計者を表彰するものです。よって、私は、どのような建物ができたかという成果も大事ですが、どのように建物を創っていったかという過程はさらに重要と思っています。そして、県内の設計事務所の設計者がより良い建物を目指し、それを讃える。静岡県建築士事務所協会にとって、本当に意義のある賞だと感じています。
受賞された皆様に心から御祝を申し上げますとともに、この賞が多くの設計者の励みとなり、設計業界の更なる発展につながることを期待いたします。

審査委員:鳥居久保
(一般社団法人静岡県建築士事務所協会 副会長:地域交流委員会担当)

静岡県建築士事務所協会が独自で運営する「2025建築賞」は、「2021」,「2023」に次ぐ今回で3回目の実施となる。過去2回は建築家の保坂猛氏が審査委員長を務めており、今回は建築家の岩月美穂氏に委員長としての全権をお任せすることとした。

応募総数は21年が32作品,23年が31作品、そして今回は29作品となっている。
作品募集に関しては、カテゴリーを住宅部門、1000㎡未満部門、1000㎡以上部門、改修・増築部門の4つに分けて募った。
結果的には23年建築賞の時に14件あった住宅の応募が25年では3件に減り、1000㎡未満の一般建築では8件(23年)が15件(25年)に増加した。母数が少ないためこの結果だけでは即断できないが、住宅の減少と建築の小規模化は地方都市における建築界の時代の反映とも言える。

建築賞選定の目的は創設当初から一貫して、静岡県の気候風土に適合し地域性に呼応した建築作品を審査で見出すことによって、我々が暮らす静岡県の建築の現在像を改めて概観することにある。そうして時代の中で選ばれた優れた建築物の発掘は、それを担当した設計者とともに顕彰されることになる。

16作品を現地審査で見たが、機能面においては、大都市で見られるような高度な複合性や、新たな技術の開発を主題とするものは見当たらない。今回の「2025建築賞」の特徴として挙げられるのは、地方都市に建つ比較的小規模の建築として、機能を簡潔に整理しつつ、コンテクストを読み解き、木構造に代表される構造表現の顕在化と、新たなデザインを街並みに投入する試みにおいて優れたものが多かったと言える。そこには設計者それぞれの力量と固有の世界観が窺えた。

とくに今回の審査において印象的であったのは、若い設計者の存在が確認された事である。彼らは自らの言葉で作品の出自を語り、同時代の気分の中で独自の世界観を紡ぎ出す努力をしていた。その姿勢はこれからの建築の新たなる展開を予感させるものであり、建築士事務所協会の「建築賞」の展開に大いなる期待を抱かせるものとなった。

Shizuoka Design Award 建築賞2025受賞作品発表

BIOCHAR

㈱アート総合設計 / 鈴木 亜生

講評
佐鳴湖に近接した新築住宅の計画。佐鳴湖には水質浄化施設などがあり、汚れてしまった湖の水を綺麗にしようと佐鳴湖地域協議会を発足させ、市民も環境保全活動をしている状況の中で、そのような状況をリサーチし、新築の住宅を計画することの中で可能となる環境に対する検討、スタディのエネルギーのかけ方が素晴らしいと感じた。資源の活用として、地域の廃材となる三ヶ日みかんの木をバイオ炭とし、建築の内外の素材として開発し利用する試みは、産業の活性化にも繋がる。敷地内の雨水の浸透性を考慮した建築の床を浮かした断面計画や外構の素材の選択についても、常に地球環境を守ることを主軸とした設計者の理念が伝わる活動である。

長床の学童

㈱竹下一級建築士事務所 / 児玉 卓哉

講評
卒園した子どもたちが帰ってこられる居場所を作りたいという保育園の方の思いが形となった建築である。子どもたちのスケールにあった2間の間口と19間の奥行の敷地の長さを活かした建築のボリュームが浮いていることで、街に対しても周辺の住宅との連続性やピロティとしての見通しの良さから、街に対して良好な環境を生み出している。木造の架構が内外に現され、空間を豊かにしている素晴らしい計画である。長く続く空間が、子どもたちの活動の多様性を引き出し、大人たちが優しく見守ることができる場となっていることが、現地審査での子どもたちの活動から深く理解することができた。

トヨタユナイテッド静岡 富士宮店

㈱竹下一級建築士事務所 / 平野 正典・平野 健・本田 真木

講評
静岡県を代表する山である富士山をイメージし、建築のボリュームの検討や、周辺環境の高低差を内外の空間として活かし、インテリアの素材や色の使い方についても、一貫性があり、訪れた人々が楽しい気持ちになる空間性が創出されていることは、素晴らしい環境づくりである。また、建築だけではなく、窓から見える風景をランドスケープとして、植栽を配置していることや、受付カウンターに地元富士産材の檜を使用し、受付背面の壁には火山由来のシラスやリサイクル素材を含み調湿効果のあるサスティナブルな大判内装材を貼るなど、カーディーラーという画一的な枠組みにとどまらず、地域や周辺環境から建築のあり方を読み解く姿勢が大変素晴らしい。

しずおか焼津信用金庫 羽鳥支店 美和出張所

企業組合針谷建築事務所 / 宇佐美 元気

講評
銀行という機能性が重視される画一的な建築タイプがある中で、この建築は地元のオクシズ材を使い、地元の製材業、大工の手によりつくられた。地産地消の建築として素晴らしい試みである。105角の材を柱や梁として使うという一貫した計画と、1820mmの連続したフレームが日本の住宅や神社のスケール感とつながる心地よい空間を生み出している。周辺環境は住宅地で前面道路は片道1車線と広くない。歩道では小学生の通学路となっているのか、内部の大きな開口から元気よく歩く姿が見えた。地域の銀行として気軽に相談できる空間性が現れている大変素晴らしい場づくりである。

しずおか焼津信用金庫 竜南支店

企業組合針谷建築事務所 / 宇佐美 元気

講評
銀行という機能性が重視される画一的な建築タイプがある中で、この建築は鉄骨造とし、人が滞在するロビーの空間性を高めるため3箇所の天井高さを変えることで、ハイサイドライトによる光の変化が生まれている魅力的な空間を創出している。また、このボリュームのリズムは周辺環境の住宅のスケール感とつながり、北側の接道する道に対して高さを抑えた空間から光を届けている。ボリュームと平面的なプランニングがリンクし、できるだけシンプルな空間性を意識しつつ、人が滞在する場には豊かな光で満たす、素晴らしい環境づくりである。

鮎壺公園交流施設 鮎壺テラス

㈱池田建築設計事務所 三島事務所 / 和田 康一・田中 建蔵

講評
周辺の素晴らしい環境を活かした軒の深い大屋根をもつ、ワンルームの交流拠点である。黄瀬川、鮎壺の滝、溶岩広場、子供広場、芝生広場、キッチンカーエリアなどの豊かなランドスケープを受け入れるような、シンプルな平面・断面構成と軒の深い大屋根が、とても気持ちの良い空間を創り出している。平面的に前面道路へとつがるキッチンカーエリアに向けて間口を大きくした変化のある形状が、多目的スペース、ミーティングスペース、キッズテラス、屋外テラスを内包するワンルーム空間に広がりを与え、心地よい場を創出している。建物にぐるりとある縁側は、裏側をつくらない計画だからこそ実現できており、設備置き場もできるたけコンパクトに建物内に集約されている、大変優れた計画である。

しずおか焼津信用金庫 西脇支店

企業組合針谷建築事務所 / 宇佐美 元気・長島 秀太

講評
銀行という機能性が重視される画一的な建築タイプがある中で、この建築は木造の架構とし、地元のオクシズ材を用いることで、地域産業や脱炭素化の観点から環境的にも貢献している。西脇支店の周辺は住宅地であり、木造の切妻屋根の建築も多く存在する。そのような文脈の中で、周辺の環境と連続するように切妻屋根を建築の重要な要素として計画した優れた計画である。人々を迎え入れる外部の下屋となる軒下から内部へと連続性を持たせるために、無柱空間を成立させるトラス構造をあらわし、その上で檜の24mm角材を天井に施している。檜24mm角材は構造材ではなく造作材である。見せ方として、構造美を美しく見せる方法もあるが、この建築では造作材を重ねることで木質空間の温かさを表現している。トラス構造というダイナミックさと、ルーバーによる繊細さを併せ持つ空間として、とても興味深い試みである。

磐田学園 機能訓練棟

㈱竹下一級建築士事務所 / 石田 賀之

講評
特別支援学校の機能訓練棟として、木造+鉄筋コンクリート造とし、屋根、梁、壁を県流通材120角で実現している。流通材をトラスの組み方によって、大空間を実現した試みは、今後の静岡市における大規模建築を考える上でも重要である。持続可能な資源の循環や産業の活性化の観点からも、地域に貢献している素晴らしい計画である。今回の先進的な試みを含め、県流通材で可能なトラスの組み方や空間性は今後も発展していくであろう。このような木の温かみのある空間があることで、特別支援学校の生徒、保護者、教員にとって心安らぐ場となることを期待している。

GREENITY IWATA

㈱竹下一級建築士事務所 / 竹下 昌臣・大手 寛・平野 正典・杉山 拓哉・本田 真木・石田 賀之・谷野 守右

講評
ガーデンを大切にしたいという主軸があったことで、ランドスケープや空間構成、素材選定が多様にミックスされた心地よい空間性が創出された、素晴らしい建築である。グランドホテルを地域のコミュニティスペースとして開放するという理念も非常に良いと感じた。ランドスケープや水盤、温泉など周辺環境を活かしながら、人々が過ごす場を丁寧につくっている。現地審査においても平面・断面の構成が優れており、訪れた人々に居心地の良い空間を提供する計画となっている。基本的にはボリュームをL型にした構成であるが、ガーテンを意識して南側へと拡張しており、この部分をラウンジ=地域のコミュニティスペースと位置付けている。階高が8mの大開口によるガーデンとの連続性や、気軽に楽しむことができるレストランへと繋がる素晴らしい計画である。

めいわ竜洋保育園

㈱竹下一級建築士事務所 / 大手 寛・神津 瞳

講評
周辺は住宅や幼稚園、畑などが広がる良好な環境である。保育園の配置・断面計画として、周辺住宅のボリュームを意識し、上下階でボリュームをずらしている。その結果、一階の園庭へ広がるピロティ空間や、隣家への配慮から生まれたボイド空間が、それぞれの保育室にも良好な環境をもたらしている。全体としてはコの字型のボリュームとしつつ、一部南側を平屋とすることで、園庭に光や風を取り込み、屋上を回遊できるテラスとして子どもたちが活動的に遊べる場を創出している。また、玄関が吹抜けの遊戯室と一体となった構成も、保育園の理念が伝わる空間として素晴らしい。保育方針として、「はしる・わたる・ねころぶ・たたずむ・すべる」といった多様な活動を大切にしており、現地審査においても子どもたちが楽しそうに活動している様子が見られ、大変素晴らしい環境である。

和田のすずき家〜古民家の新しいかたち〜

㈲大石設計室一級建築士事務所 / 大石 智

講評
約築130年となる民家の改修計画。既存の持つ素晴らしい空間性を調査、分析し、活かしながら現代の暮らしに合わせて、少しずつ手を加えている丁寧な設計が空間の魅力を向上させていると感じた。現地調査を行ったのはとても寒い2月で、民家の内部は天井を一部解体し、庭からの光が入る、野物の梁がダイナミックに現れる開放的な空間だったが、温熱環境として暖かくとても快適であった。その理由は、床下の断熱・気密性を高め、エアコンで暖かい空気を流し、空間を床暖房空間として活用したことにある。かまどを新ストーブに更新し、かまどの耐火レンガは、東屋のBBOコンロになり、かまどを仕上げていた化粧レンガは、薪ストーブの遮熱壁として使われている。東屋には使われていなかった井戸を復旧している。改修したキッチンは子供達の料理教室としても使われる。民家を持続可能なものにしていく素晴らしい試みである。

下田市庁舎移転計画

㈱池田建築設計事務所 三島事務所 / 和田 康一・田中 建蔵

講評
中学校の統廃合によって、廃校となった建築を下田市庁舎としてコンバージョンした計画。改修計画で大切なことは、何を保存し、何を新しくするかだが、このバランスがとても良いと感じた。具体的には、断面構成として1階を地域開放フロアとし、2、3階は窓口フロア、4階は議会フロアと明確化したことである。また、1階はまちのホールとして、天井を撤去し、構造体を現しとすることで、開放的な空間となる。建具や家具、床材についても保存、活用しているものが1階から4階まで各所にあり、中学校の記憶と現在の庁舎としての活動が重なり、空間に新築では不可能な魅力を与えている。全体の方針として、庁舎としての重厚さではなく、気軽に立ち寄ることができる空間性を現地で感じることができた。今後の新築棟や旧庁舎の場の展開についても期待できる素晴らしい試みである。

うみてらすDORI

企業組合針谷建築事務所 / 杉山 春輝

講評
袋井市の同笠海岸(どうりかいがん)周辺における海のにぎわい創出プロジェクトの拠点の一つとなる建築。大屋根をキャンチレバーとして張り出し、木造の架構によって豊かな軒下空間を創出している。トップライトの取り入れ方も素晴らしい。それぞれの内部空間からトラス架構が見えることで、空間に広がりが生まれている。大屋根は素材感や尺貫法のスケール感を大切にした設計であることが伝わる一方で、その屋根を支えるコンクリート壁のあり方については、ここで行われる広場のイベントによって見え方が変化する可能性がある。今後の展開として、周辺環境の海への繋がりやランドスケープ、吊り金具を使用したアクティビティの検討などを期待している。

(仮称)新陶芸センター・道の駅

㈱高橋茂弥建築設計事務所 / 大橋 康孝

講評
藤枝市瀬戸谷地区の既存の温泉施設を残しながら、その建築の軒下空間や既存売店の建ち方を分析し、新築棟に活かす試みが素晴らしい環境づくりである。既存の温泉施設は多くの方に愛されている魅力的な空間であり、この空間を尊重しながら、新築棟の要素を加え、魅力を拡張しようとする意識が計画からも伝わる。新陶芸センターと既存温泉施設、バス停、道の駅をつなぐ回廊は、訪れた方の陶芸作品を展示する場として計画され、歩く楽しさを創出している。周辺には美しい山々が連なり、瀬戸川が流れている。今後は、この瀬戸川を活かしたさらなる展開にも期待したい。

神明町の社屋

㈱竹下一級建築士事務所 / 児玉 卓哉・本田 真木・白井 雅人

講評
執務機能の新築部をコンパクトに配置しながら既存の民家を活かし、柱を一部現しとし、天井を撤去し小屋組が空間に現れる改修計画としたことは、現地での既存建築調査に時間をかけ、全体の配置計画や既存を保存・改修する姿勢としてとても素晴らしい計画である。また庭が敷地の中心にあり、新築棟の階高を抑えることで庭全体が明るくなり、歩道からもその庭が見えることで、地域に対して良好な景観を与えている。庭と執務室の空間的な繋がりについては、新築棟と既存改修棟の間に庭があるので、新築棟の内部から庭との関係がより深まるような開口部のあり方があるとより一層、庭との連続性のある空間が期待できる。

どんつき

㈱tot一級建築士事務所 / 中根 健一

講評
約築100年となる空き家の改修計画。コストバランスを考慮し、既存をできるだけ残すという全体方針が素晴らしい。また、エントランスにウッドデッキを設け、内側の空間が外に拡張する新しい要素を入れている空間性がとても良く、2F天井を解体し小屋梁が空間に現れ開放的で魅力的な空間となっている。庭に配されていた大谷石を転用したカウンターがあることで、物語性が生まれる。今後のコミュニティスペースとしての使われ方の中で、既存空間に新しいものを差し入れながら更新していくことで、豊かさや魅力がより増大していくことを期待している。

しずおか焼津信用金庫 羽鳥支店 美和出張所

企業組合針谷建築事務所 / 宇佐美 元気

講評
銀行という機能性が重視される画一的な建築タイプがある中で、この建築は地元のオクシズ材を使い、地元の製材業、大工の手によりつくられた。地産地消の建築として素晴らしい試みである。105角の材を柱や梁として使うという一貫した計画と、1820mmの連続したフレームが日本の住宅や神社のスケール感とつながる心地よい空間を生み出している。周辺環境は住宅地で前面道路は片道1車線と広くない。歩道では小学生の通学路となっているのか、内部の大きな開口から元気よく歩く姿が見えた。地域の銀行として気軽に相談できる空間性が現れている大変素晴らしい場づくりである。

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