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第6回 建築系高校生設計コンペ 受賞作品発表

建築文化委員会
担当副会長 鳥居 久保

実際に我々が目にする建築とは、社会的、経済的ニーズに応えるために作られたものであり、それぞれの目的に沿って供給されるものであります。それは美術館であったり、音楽ホールであったり、商業モールであったりと、その集積の上に都市は形成されています。 
一方その中には、ひときわ人を引き付けるデザインやハッとさせられるアートな感性で、情緒に訴えかけてくる建築もあります。つまり建築が引き受けているその社会的役割は、無限に幅広く、また多岐に渡ると言う事です。
高校生の年代で建築を考える時、何から考え始めるかについては、実は大きな「問い」が存在します。そこで静岡県建築士事務所協会が主催するこの「高校生コンペ」では、自分の身の回りの空間への小さな気づきから始まってもいいのではないか、と言う前提のもとに、建築の入り口を模索しているこの年代に向けてのメッセージとなるコンペ、という方針を設定しています。
今回応募いただきました22点の作品は、そのどれを取っても他にはない良さを持っていて、その良さを磨くことによって将来の建築の在り方に変化をもたらすような可能性を秘めた提案だったと思います。
今後の彼らの建築界での歩みを担保する意味でも、我々、静岡県建築士事務所協会は今後もこのコンペを続けていくことをお約束して、今回の審査結果とさせていただきます。
各高校の生徒の皆さん、そして指導を頂いた担当の教員の皆様、本当にありがとうございました。また来年の審査の場でお会いできることを、心よりお待ちしております。

第5回 建築系高校生設計コンペ受賞作品はこちら
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第65回 建築系高校生設計コンペ受賞作品発表

忙しい学生のための家

浜松工業高等学校 3年 磯部 陽心

講評
ゾーニングや設計意図を的確に明示してあり、質の高いプレゼンテーションがなされている点がまず高評価となっている。
パース・3D断面図を利用することで空間構成をわかりやすく表現され、全体的な構成も内容を理解しやすく、やわらかな配色からその思いも伝わる。
中心と考える玄関周辺に注力し、ディテールを細かに説明し、ここが今回の肝であることを表現されている。玄関を家の中心と考えるという今までにない発想。素晴らしい着眼点だと思います。まさに現代社会が抱えている一つの問題点に対する切り口である。
現代の学生は、学校の授業以外に、部活動、習い事、塾等多様化・多重化している。その中においてこの新しい提案は新鮮である。

(一社)静岡県建築士事務所協会 副会長 立道 浩幸
(株式会社蒼設計 代表取締役)

副業をめざす山田さんのための理想の家

富岳館高等学校 3年 坪井 琉多

講評
コインランドリーという形態をいじらずに、その上に鞘(さや)堂的にコンテナを乗せた。住宅として改造されたコンテナの外壁には、デジタルサイネージが輝く。営むカフェはリヤカーのように屋台を引いて移動するが、デザインはむしろキッチンカーの隣がよく似合う。
雨の日はカフェをコインランドリーに格納して、ラテアートの教室を開く。それらはあくまで副業であり、広告費としての収入もある、という気ままさ、自由さ、余裕がいい。
現代の多様性、流動性、拡張性を建築言語でとらえ直した時、建築やまちがこうであってもいいじゃないか、という生活者としての提案力があって好感が持てる。建築にありがちな大上段に振りかざした提案ではなく、しなやかな開き直りがあって、とても面白いと思う。
時代のデザインとはこういうものを言い、建築は一度作ったらそれが最終形という近代の理屈ではなく、可変性の在り方や価値観を誰もが経験・共有できるような形で、コミュニケーションがまちへと繰り出した大変優れた作品だと思う。

建築文化委員会 担当副会長 鳥居 久保
(企業組合 針谷建築事務所 会長)

暮らしをつくるDIY

浜松工業高等学校 3年 永吉 璃帆

講評
この作品は、課題の条件を理解してDIYをテーマにしたところが高評価である。計画地を県西北部天竜区に設定し、地場の特産である天竜杉にも着目し、建築資材の有効活用にもつながる提案をしている。そしてハーフビルドに着目し、住まいを造る楽しさや嬉しさが伝わってくる。間取りでは、玄関から一体となった作業場である土間、そこにつながるリビング空間の距離感、吹き抜けで繫がった2階部分がまさに一体感を生んで魅力的な空間を演出している。住宅は時間とともに家族構成が変化し、間取りを対応させながら暮らせるのが理想である。この住宅は住む人が楽しみながら使い続けていくに違いない。
ただDIYをテーマにした建物であれば、素材感や手作り感がある建物デザインを採用した方がさらに良かったかもしれない。

(一社)静岡県建築士事務所協会 会長 金丸 智昭
(株式会社 金丸建築設計事務所 代表取締役)

バイクのための家

沼津工業高等学校 3年 伊藤 璃音

講評
課題の「設計条件」である「敷地と近隣環境の特徴」として、静岡県伊豆地域の特色である温泉・河津桜・年間を通じたツーリングをコンセプトに、とても楽しかったであろう父とのツーリング体験を含めて取り入れた、こだわりのある作品です。
審査では、技術力・表現力・独創性ともに高く評価されました。平面図を西棟・東棟を一体で、両棟の関連性と屋上部分のつながりを表現できたら、さらに良い作品になると思います。
建物の形状はバイクのタイヤに見立てた円筒形2棟を採用し、西棟はコンパクトながらも家族の集いを大切にした居住空間、東棟には年間を通じた現実的な集客まで考慮したバイクのカスタマイズ店舗と、河津桜や海を眺める足湯カフェ・温泉と、とても魅力ある建物となっています。
ぜひ河津桜の季節に、のんびりゆったりと立ち寄ってみたくなりますね。
図面の表現力も高く、ツーリングを楽しみながら定期的にこの店舗を訪れるであろうお客さんの笑顔や、それを迎えるオーナーの笑顔も感じられる作品です。
伊豆半島が大好きな私も、ぜひ常連客になりたいですね。

広報・渉外委員会 委員長 齊藤 滋史

森の棲家 ~鳥好きのための理想の家

科学技術高等学校 2年 小林 莉瑠

講評
「森の棲家」は、敷地環境と家族像を丁寧に読み取り、その特徴を建築の計画へ自然に結びつけている点が高く評価できます。
倒木を思わせる建物の構成や、巣穴のような開口部の扱いなど、自然のモチーフを単なる装飾ではなく空間の機能として取り込んでいる所に工夫を感じられます。観察所や巣を模した遊び場、鳥が集まる木を囲んだ作業スペース、内部を横断する鳥の通路など、自然との距離感を体験として設計に落とし込もうとする視点には独創性が感じられます。また、既存樹木を避けて建物を配置する工夫は、環境への配慮と建築の必然性を意識した計画として評価できます。
自然との関係性を建築的に表現しようとする探究心が作品全体に表れており、今後のさらなる成長が楽しみです。

建築文化委員会 委員長 山本 康二郎

お茶で繋がる憩いの家

掛川工業高等学校 3年 寺田 一翔

講評
掛川市の特産品のお茶を利活用するプランに挑戦しています。
掛川茶たっぷりのコンセプトを考え、建築的に表現している素直な作品だと思います。
平面計画をじっくり考え、住宅と喫茶店をゾーン分けして、そこにコミュニティの場を設けて人の輪をつくろうとしており、美味しいお茶が飲めそうですね。
平面の形状にもこだわっていて、静岡県全体の形状をとらえ、また細かいところではアールを多用して計画をやわらかくしています。
一生懸命にコンセプト、平面配置計画をスケッチしながら表現したことがよくわかります。
立面計画にもその表現を取り入れることによって、もっと素晴らしくなったのではないかと思います。
平面計画にアールを多用したので、立面の表現がすごく難しくなったのではと思います。
掛川市にたくさんの人に来ていただき、おいしいお茶をたくさん飲んでもらい、地元の皆さんと交流できる建築と風景が融合できるとよいですね。

教育・情報委員会 担当副会長 藤原 龍美

サッカーでつながるための理想の家

科学技術高等学校 1年 原 千宙

講評
サッカーミニコートを中心とした計画となっており、その吹抜を要した大空間を取り入れながら、プライバシーを必要とする住宅部分との連続性がうまく表現できている。
同時にコートの開放性のあるガラス窓と可動式屋根によって、外部空間とのつながりや自然採光・通風にも考慮されている。
またファサードにおいても、丸窓のある和風の住宅部分と、四角いサッシ形状のコート部分により、バランスのとれた計画と
なっている。
本計画では延べ床面積が500㎡を超えることが想定される。その場合は吹抜部分には防火性能のある壁、床、扉などを設置する必要なども考えられる。夢ある計画であるとともに、フィージビリティを持たせた法的な部分学ばれると面白い。
サッカーと向き合う日々の生活から、静岡が真のサッカー王国になることを切望する。

HEIM KUCHEN

科学技術高等学校 2年 村石 帆希実

講評
外観イメージ図が印象的な作品となっています。
「お菓子」を感じて楽しめるというコンセプトをバームクーヘンに重ねた設計が住宅の中に表現されていて、デザイン面でも細かなドアや椅子、ドアノブ等の細かな物まで考えられていて大変楽しさが伝わった作品となっています。
コンセプトとしての表現はできていますが、住宅建築としての表現はこれからだと思います。
細分化された部屋割りが、かえって生活の分断が考えられると思いますのでもう少し広がりがある部屋割りにしたりすることでもう少し自由な空間ができるような気がします。

聖職者たちのための家

科学技術高等学校 1年 法月 玲於南

講評
宗教というテーマを一つの枠にとどめず、さまざまな信仰や価値観を包み込むような広がりをもった発想が印象的です。
中央の吹き抜けを核に放射状に展開する空間構成は、異なる人々がそれぞれの祈りや生活を保ちながら、同じ中心を共有する象徴的な建築表現として秀逸です。素材や形態にも穏やかさと敬虔さが感じられ、精神的な静けさが空間全体に漂っています。今後は、光や風の導き方、人の動線をより丁寧に考えることで、理念と体験がより深く結びつくでしょう。
多様な価値を受け止める包容力を備えた、成熟した思考の見られる好提案です。

3太郎のための理想の家

科学技術高等学校 1年 星野 虹音

講評
誰もが知っている桃太郎、金太郎、浦島太郎の3太郎のための理想の家というテーマに沿って、それぞれのアイデンティティをいくつかの空間に落とし込み、3太郎に共通する動物好きから動物と触れ合える中庭を取り囲むように様々な空間を繋げる発想はとても優れています。
外観についても昔ばなしから連想される絵巻をモチーフにして、テーマをデザインに落とし込む表現力も審査員に高く評価されました。
今回の計画地である川根本町の豊かな自然環境と内部空間の繋がりをつくることで、さらに夢が膨らむ理想の家になることを期待します。

アスレチック好きのための家

科学技術高等学校 1年 定脇 茜子

講評
パッと見たときに目を引く1枚だと思いました。絵がきれいでまとまっていて、とても見やすかったです。
天竜美林を想定しており、静岡県の資源を使っているなど、設定がしっかりしており、平面図もコンパクトですっきりと収まっていますね。審査員の点数が表現力と独創性で高得点だったのも頷けます。
屋上が緑化されていますが、登る手段がボルダリングだけでしょうか?
外壁面を工夫するなどで、上ってくつろげる場所になっても良かったかなと思います。
全体としては、1枚の中にきれいにまとまって表現されており、高評価となりました。

天文学者達のための理想の家

科学技術高等学校 1年 小長谷 榮大

講評
「天文学者達のための理想の家」というタイトルから、夢と実用性を両立させようとする意欲が強く伝わってきました。
特に、県内有数の美しい夜空の場所を選定した着眼点、そして建物の中心に大型の「天体望遠鏡台」を据えた独創的なプランニングは、この作品の最大の魅力です。
研究と生活の時間のロスや疲労をゼロにするという明確な目的意識が、空間構成に表現されています。
1階の「ダイニング兼ホール」のような共同研究を見据えた大空間と、2階の集中力を高める研究室の配置は、公私のゾーニングに対する配慮を感じました。「家族の住まい」としての機能も確保しつつ、知的好奇心を刺激する特別な場所を提案できたことは、高校生らしい自由な発想力ですね。
この情熱とアイデアを大切に、これからも建築を通して設計を追求してください。次回の応募も期待しています!

スチームパンク好きのための家

科学技術高等学校 1年 堀内 里穂

講評
スチームパンクというフィクションの世界の中で日常を過ごしたい夫婦の家という特別な設定が明確で、着想が興味を引きます。計画地も製紙工場の煙突の煙が蒸気を連想させ、スチームパンクの世界のイメージにぴったりで、立地の選定がフィクションの世界を一気に現実に引き寄せてくれました。何の変哲もない工場群の景色を魅力的な街並みとして、新たな価値を見出した発想は大変良いと思います。建物はハット型の外観や円形のプランが印象的で、中央のコアから諸室へのアクセス、傾斜を上手く使ったシアタールームの断面構成には工夫が見られます。 例えば、螺旋階段が屋根を抜けて製紙工場の夜景を楽しめたら、より面白いのかなと感じました。

読書家佐藤さんのための理想の家

富岳館高等学校 3年 平柳 里奈

講評
施主の暮らし方や趣味をしっかりつかんでいて、「読書」を中心にした生活をうまく建物に反映できている点が好印象です。
書斎・読書部屋・リビングをゆるやかにつなぐ動線も分かりやすく、敷地の読み取りも丁寧にできています。
外観デザインや素材選びをもう一歩工夫できると、より個性が出てさらに魅力的な作品になると思います。
建築を誠実に考えられた計画で、設計者の真面目な性格を感じ取れます。一方で、学生らしく、もっと自由で大胆な発想にもぜひチャレンジして、建築を思いきり楽しんでください。

隠し地下室のための家

科学技術高等学校 1年 岩崎 咲大

推し活のための家

科学技術高等学校 2年 望月 実来

猫のための理想の家

科学技術高等学校 1年 赤堀 健留

風景と共に暮らすための家

科学技術高等学校 1年 藤沢 慧士

自然と親しむための家

科学技術高等学校 1年 野崎 瞭有

ペットのための家

沼津工業高等学校 3年 黒崎 元希

灯台守のための家

浜松工業高等学校 2年 藤井 志侑

鷹匠家族のための家

富岳館高等学校 3年 蛭川 煌生

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